<主要メディアは沈黙を続けています>
山口敬之元TBSワシントン支局長

山口敬之氏

TBSの元ワシントン支局長による、いわゆる「詩織さん事件」は、詩織さんの記者会見から3ヶ月が経過しましたが、未だ主要メディアに大きな動きありません。

TBSの元ワシントン支局長で、詩織さんの記者会見直前まで各メディアでジャーナリストの肩書で活動していた山口敬之氏には、二年前に詩織さんに対する 準強姦Incapacitated Rape / Quasi Rape 容疑で逮捕状が出ていながら、逮捕直前で取り消しになり、その後不起訴処分となっていました。
山口氏は事件当時から安倍内閣に非常に近い存在であることに加え、その後事件の扱いに納得のいかない詩織さんが、顔を隠さず下の名前も公表して記者会見を行うという、レイプ事案として異例の行動をとったことからネット上などで話題となっていましたが、山口氏を直前まで起用していた大手メディアは記者会見含め、大々的に扱うことは殆どない状態が続いており、メディアの対応に疑問の声も上がっています。

(以上 HEADLINE 2017.08.30)

< ほぼナイ! レビュー動画(Vol.26)【 見逃し配信を視聴 (YouTube)】>


『ココがヘン!ニッポンのニュース:詩織さん事件:「フェードアウト→ダンマリ」で、大手メディアは共犯?!

<参考:ハフポスト「私は、被害者Aではない。伊藤詩織です」元TBS記者のレイプ疑惑を顔出しで公表した理由

伊藤詩織さん

伊藤詩織さん

ボクの知る限り、大手メディアが犯した最も悪質な事件、それが「詩織さん事件」だ。
容疑者(あえて言う、山口氏は容疑者だ)が大手メディア(TBS)の思いっきり身内であることもさることながら、そのことをTBSは知りつつ大々的に事件を報じることもなく、黙殺し続けていた。
そして山口氏は事件後にTBSを退社している。退社理由は未だに公表されていない。仮に詩織さん事件が退社理由なら、TBSは山口氏の行為を「悪い」と認識していたことになる。
それでも、TBSは山口氏退社後も事件に対する謝罪はおろか説明らしい説明も、現在に至るまで一切行っていない。
実はTBSが会社として、発生当時から事件を認識していた事は明らかになっている。
当たり前だ。当時の社員が逮捕直前まで行ったのだから、警察関係者からTBSに当然情報がいっている。
TBSは容疑者をかばって、こっそり退社させ、その後も完全無視を決め込んでいるのだから、山口氏と共犯と言われても仕方がない。

TBSだけじゃない。情報収集能力の高い大手メディアの事だ、他社も山口氏の事件を当時から知っていたことは想像に難くない。
にもかかわらず、退社後にフリーランスとなった山口氏を安倍総理に「極めて近い」「喰い込んだ」ジャーナリストと持ち上げ、大手メディア各社は起用し続けた。
謎の逮捕直前での取り消し→一転して不起訴処分→事件が全く報道されない、という事態に、事件風化を恐れた詩織さんの異例の各メディアへの告発までは。
一連の事件をレイプ被害者本人が実名(当時は下の名前のみ)顔出しの
記者会見で告発、という、普段のマスコミ(特に民放ワイドショー)なら、セカンドレイプも恐れない野次馬根性丸出しで飛びつく「超オイシイ」ネタである。ゲス不倫どころの騒ぎじゃない。こっちは疑惑テンコ盛りの重大な犯罪だ。
実際、記者会見当日、大手メディアの記者は会見場に押し掛けた。
にもかかわらず、直前まで自分たちが露出させまくっていた人物が限りなくクロ、というこの事件、更には逮捕を直前で止めるよう警察に圧力をかけたのが安倍総理の側近という、これが事実なら(というかこの側近は逮捕に圧力をかけたことを既に認めている)モリカケ以上の大スキャンダルを、記者会見の模様だけをサラッと扱って、その後は完ムシ、山口氏の起用責任にはほぼ言及せず、という極めて無責任な態度に終始している。
視聴者や読者からすると、あれほど露出していた人物が「いつのまにか」一切メディアで見かけなくなった、ということになれば、まさにフェードアウトだ。

本当は、山口氏に限らず、メディアにとって都合の悪い人間は、「統合の悪い何か」が起きた時点で即、お役御免、となる。クビだ。
山口氏についてはクビは当然だろう。むしろ使ってた事の方が問題だったのだし。
だが、メディアは「都合の悪い何か」が深刻であればあるほど、そのことに触れたくないために、一切の説明をせずに突如その人物がいなくなる。
普通、番組降板とかになると、「卒業」とかいうとってつけたような名目とかで、視聴者に挨拶してサヨナラ、というのがパターンだ。
出演者が「大人の事情で」とか冗談めかして言う場合は、あぁ本人は絶対やめたくないのだろうな、というが透けて見えたりする。
まぁ裏ではいろいろあるにせよ、一応挨拶くらいはするのが常だけど、それをやらないのだから、よっぽどのその出演者のファンとか、メディアの舞台裏を意識してウォッチしているボクのような、一部例外の視聴者や読者を除けば、まぁフェードアウトとしか感じないことになる。
普段は政治家や芸能人相手に「説明責任」を求めておきながら、自分の事となるといきなりダンマリである。

ところで、詩織さんが見舞われた 準強姦Incapacitated Rape / Quasi Rape の被害、これはほぼナイ!」の中でも説明した通り、普通の 強姦レイプRape と基本的に変わらない。日本語では「準」となっているので悪質じゃない印象すら受けてしまうが、むしろ逆だ。英語で Incapacitated とあるように、被害者が抵抗するキャパがない、抵抗できない(通常は意識のない)状態で加害者が一方的に性行為に及ぶというものだから、考えようによっては意識のある状態でのレイプより卑怯、というシチュエーションも十分ありうる。
今回の詩織さんのケースは、薬物でこん睡状態にさせられた上での犯行だった可能性が高い、と詩織さんは状況証拠を挙げて主張している。もしそうなら、あまりにヒドい話だ。

詩織さんにとって更に不幸なことに、相手が運悪く政権に深い関わりを持つ人物だったことで、かえっていわれのない誹謗中傷をネット上で受けることになっている。
もちろん彼女の勇気を称賛し、共感する声が多数上がっているのも事実だけど。
今回は、まさに安倍政権とメディア間の関係に存在する「闇」が、事件のもみ消しという更なる悲劇を生んだけど、それはそれ。
まずは明らかな被害者がいる以上、その救済が第一だ。政権批判はその後。
もちろん、司法のトップは内閣なので、結局この話も最後は安倍内閣に行き着くのだが。

ともあれ、まずは加害者の責任を明らかにし、更に加害者をかばった連中(メディアと司法)の責任を明らかにすべきだ。
その戦いを詩織さんは自力でやろうとしている。
自ら訴訟を起こし、民事裁判で事件の全貌を明らかにしようとしているのだ。警察・検察は結局動かなかったから。
だが、裁判にはカネがかかる。そこで、詩織さんは10/18に本名、伊藤詩織の名で『Black Box』を出版した。
事件の全貌やその後の反響等、詳細に綴ったものだ。
だがこれも一部で、売名行為、などと批判する声があるようだ。この世の中、どこまでも理不尽だ。
因みに、記者会見以降、ネット上に詩織さんのプライバシーは続々と流出、名字を隠す意味もなくなり、最近は本名:伊藤詩織で活動されている。

詩織さんの本は、紙の書籍と共に電子版も出ているので、ご興味のある方、伊藤詩織さんの活動を支援したいという方は、是非。

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イサ&バイリン出版解説兼論説委員 合田治夫