失われた?!G7の意義:くだらないプライドの犠牲(2019.8.28配信分レビュー:その2)

- ほぼナイ! HEAD LINE -
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NASAが撮影したアマゾンの森林火災による煙の衛星画像

NASAが撮影したアマゾンの森林火災による煙の衛星画像

G7サミットが24日から26日までフランスのリゾート地、ビアリッツで開かれました。初日の夕食会では終息の気配がないアマゾンの大規模森林火災が議題に上り、日本を除く世界の危機感が改めて示されました。

日本のMSM(Mainstream Media)がほとんど伝えないブラジルのアマゾンの大規模森林火災は、近年多発するアマゾンの森林火災は既に国際的な問題として認識されており、その焼失面積は1月から8月までに約4万3千平方キロメートル以上にもなると言われています
この九州全域を上回る広大な面積の森林火災は、米NASAの衛星画像などで、道路や農地などの開発された地域に火災が集中していることが明らかになっており、火災の原因がブラジル・ボルソナロ政権が主張する干ばつなどの天災ではなく、現政権が強力に推し進めてきたアマゾン開発の結果による「人災」であるとの見方が世界中に拡大しており、一向に収まる気配のない「人災」に対する危機感が増してきています。

(以上 HEADLINE 2019.8.28)

< ほぼナイ! レビュー動画(Vol.48):【 見逃し配信を視聴 (YouTube・part 01) 】【 見逃し配信を視聴 (YouTube・part 02) 】>

 

【ココがヘン!ニッポンのニュース】失われた?!G7の意義:くだらないプライドの犠牲

<参考:WIRED.jpアマゾンの森林火災は“必然”だった──急速に進む恐るべき「緑の喪失」のメカニズム

絶対的な権限持つ議長国、の筈が…
マクロン大統領

Emmanuel Macron仏大統領(写真:朝日新聞)

毎年先進国7ヵ国(一時期はロシアを含む8ヵ国)が毎年持ち回りで議長国となり、各国で開催されるG7サミット主要国首脳会議Group of Seven summit meeting)。
開催国が議長国となりその国のトップが議長を務めるので、今年のG7サミット(以下G7)はフランスの観光地ビアリッツ(Biarritz)で開かれ、議長を務めたのがフランスのマクロン大統領。
G7の中で議長は絶対的な権限を持ち、会議の議題、つまり何をテーマに会議を進めていくかを決めることができる。
意地悪な言い方をすれば、自分に不利な議題は避けて、自分が問題にしたい、とか、アピールしたいという話題を集中的に取り上げていく、という事ができる。それくらい、議長(国)の権限は強く、特に議長(国)はG7を重視しているしチャンスでもある、ってコト。
マクロン大統領は環境問題に熱心なことで知られていたし、今回のG7では、既に世界で注目されてからも数週間にわたり終息の気配が全く見えていなかったアマゾンの大規模火災や近年大きな国際問題になっている海洋プラスティックゴミなどを取り上げることを公言していた。
にもかかわらず、日本のMSMMainstream Media大手メディア)では、G7の主要議題が環境問題だと分析されることは、少なくともボクの知る限りほとんどなかったし、仮に触れてもほんのちょっと。相変わらず環境問題に熱意が海外メディアと比べて決定的に差がある。まぁ、それはさておき。

マクロン大統領の予告通り、アマゾンの大規模森林火災はいきなり初日の夕食会で話題に上がった、と世界のメディアが伝えた(けど、恐らく日本のメディアはほぼスルー)。
ところが今回のG7、年々指摘する声が大きくなっているように、意見の違う各国首脳が集まっても、各国がバラバラな主張でほとんど物事が決まらず、本当にやる意味があるのか、という批判まで出てきているのが実状。
実際、世界のメディアでもG7そのものよりも、その前後に行われる Bilateral Negotiation二国間交渉 つまり二国(例えば日米)のトップが文字通りサシでヤる会談の方が注目度が高くなっている。こっちの方が主張がバラバラで決裂必至の会議より、最悪2つにしか割れないので合意点も見つけ易い Bilateral Negotiation二国間交渉 の方がマシだ、ってところか。

そして今回のG7は、会議の最後に公表される「首脳宣言」が見送られるという、G7史上初の異常事態となった。これまでは、各国バラバラながらも無理やりごまかしてでも「首脳宣言」という名の一致した(という名目の)声明を出してきたけど、それすら今回は出せなかった。要するに会議は完全に決裂した、と言っていい。
更に象徴的なことが今回のG7で起こった。これまで「一応」G7自体を尊重して、Bilateral Negotiation二国間交渉 は会議の前日や翌日に行われていたのが、会議の当日に設定、開催される交渉が続出、もはや何のために各国首脳がビアリッツで集まったのかが分からなくなるほどの事態になった。

そして極めつけは、7ヵ国の首脳とEUのトップのみで行われる筈のG7に、米国との関係悪化で世界的な注目を集めるイランのザリーフ外相がフランスのドリアン外相の招待で事前の予告なくビアリッツに登場、フランス首脳と計5時間ほどの会談をこなし立ち去るというハプニングまで発生、これでG7はほぼ完全に世界のメディアの注目を失うことになった。

マクロン大統領の「想定外」?

と言っても、環境問題を重視するマクロン大統領の姿勢は変わらなかったワケで、実際、G7共同でこの問題に取り組む姿勢を打ち出した。アマゾンの火災支援で2200万ドルの金融支援を行うと発表した。
G7共同、ということは、環境問題に消極的な姿勢で知られ、「首脳宣言」見送りの元凶とも言われる「あの」トランプ大統領も受け入れたという事だから、ある意味スゴいと言っていいかも。

ボルソナロ伯大統領

Bolsonaroブラジル大統領(写真:AFP)

ところが世界には「トランプ」がもう一人いた。「ブラジルのトランプ」とも言われるブラジルのボルソナロ(Jair Messias Bolsonaro)大統領だ。つまり大規模森林火災の当事者ということになる。
それがこともあろうに、G7の支援の申し出を「バカにするな」と一蹴、今年4月のノートルダム大聖堂火災を引き合いに出し、マクロン大統領に「そんなことを世界遺産を守れなかったお前が言うな」と言わんばかりに逆ギレしてみせた。
支援受け入れが(大規模火災の原因と言われる過剰なアマゾン開発を推し進めてきた)自分の失政を認めることにつながる、と考えていると言われてるけど、本家?のトランプもビックリの見事な逆ギレである。
そして、G7はじめ世界各国が懸念しているように9月も終わろうとしている24日現在になっても、この火災に収束の気配はない。言わんこっちゃない、と言ったところか。
大体、今回の火災が世界的に注目を集め始めた当初に、ボルソナロ政権の大統領補佐官が「こんな大規模な森林火災を消し止める能力はわが国にはない」と開き直っていて、政権は火災を放置する姿勢すら見せ、批判が強まると態度を変える一方で自己弁護の姿勢は崩さない…と、まぁ、はっきりいってメチャクチャ。
こんな調子では、問題の長期化も当然だし、マクロン大統領もこの事態は「想定外」だったのでは。
「環境問題」を全面に押し出してフランスの存在感を世界にアピールしたかったであろうマクロン大統領にとっては、完全な「誤算」に終わったG7、と言えるだろう。

問われるメディアの姿勢

こうなるとどこまでも悲観的にならざるをえないアマゾン大規模火災、なぜ世界がここまで懸念するのか、そしてなぜ世界のセレブが大騒ぎしてるのか。
それは、こうしている間もアマゾンの熱帯雨林が燃え続け、失われていく=世界の二酸化炭素(温暖化ガス)が行き場を失い、地球の温暖化がさらに進行する、という悪夢のシナリオが待っているからだ。
実は「ほぼナイ!」で少し触れたように、山火事は世界中で起こっている。猛暑が原因と言われる大規模火災がアマゾンとほぼ同時期に起きたシベリアはじめ、アジアもそうだし、例を挙げるとキリがない。アメリカでも昨年末にカリフォルニアであったけど、焼失面積は今回のアマゾンより広いものも結構あるけど、それでも今回のアマゾンはダントツで深刻、と言っていい。
なぜならアマゾンの森林は「世界の保管庫」とも言われる圧倒的なCO2保有量を誇っていて、CO2の増加、という点で言えば、その影響力もダントツだから。今回のアマゾン火災で、例え明日全て消し止められたとしても、地球温暖化への影響は計り知れない。
だからこそ、世界はマジで心配し「頼むからオレに消させてくれ」って心境なんだけど、肝心のボルソナロはそこまでこの問題をシリアスに捉えていないらしく、国際社会からすればハッキリ言ってどーでもいい彼の地位とプライドをいかに守るかで頭が一杯らしい。

ということで、世界的に大騒ぎなこの状況も、日本のMSM(大手メディア)はほとんど興味がないらしい。
大体、日本にとっても温暖化の観点から全く他人事ではないどころか、日本は今回の火事の「戦犯」「火付け役」と一部で批判されている。というのも、今回の火災の原因とみられるボルソナロ政権が推し進めてきたアマゾンの大規模開発を積極的に支援してきたのが日本で、更にアマゾンの熱帯雨林に大きな影響を与える(畜産部のエサでもある)大豆の輸入も世界的な問題になりつつある。

またも日本政府や大企業への批判につながりかねない問題は徹底的にスルーしてるようにしか見えないMSM(大手メディア)の姿勢が、将来への禍根を残しかねない事態が着実に進んでしまっている、というおはなし。

イサ&バイリン出版 解説兼論説委員 合田治夫

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