「迷走」東京五輪マラソン:千葉も東京なら札幌も東京?!(2019.10.30配信分レビュー:その1)

- ほぼナイ! HEAD LINE -
<もはや何五輪か不明な状況です>
ジョン・コーツ調整委員長

John Coates調整委員長(写真:reuters)

真夏の東京の気温上昇が選手や観客などに深刻な健康被害を招きかねないとの懸念も専門家などから指摘される中、突如持ち上がった五輪のマラソンと競歩競技の札幌開催案に対し、小池東京都知事が会見などで不快感を表明しています。

JOC(Japanese Olympic Committee:日本オリンピック委員会)の森喜朗会長は「IOC(国際オリンピック委員会)の決めたことには逆らえない」としており、ジョン・コーツ:John Coates IOC調整委員長が主導したと言われる札幌開催案を容認する姿勢を見せています
一方、開催地の首長である小池百合子東京都知事は、五輪競技の花形であるマラソン開催に向けて、競技コースとなる道路の特殊舗装などに多額の予算をかけて整備を進めるなどの準備を進めてきていることなどから、予定通り東京でのマラソン開催を強く主張し、IOCやJOCに対する不信感を表明しています。

(以上 HEADLINE 2019.10.30)

< ほぼナイ! レビュー動画(Vol.50):【 見逃し配信を視聴 (YouTube・part 01) 】【 見逃し配信を視聴 (YouTube・part 02) 】>

 

【ココがヘン!ニッポンのニュース】「迷走」東京五輪マラソン:千葉も東京なら札幌も東京?!

<参考:PRESIDENT Online五輪マラソンの札幌開催は「IOC幹部の保身」だ

「正気の沙汰じゃない」東京五輪

以前から何度か取り上げてきた来年開催予定の東京五輪に大きな局面が訪れた。
以前から東京五輪に批判的な人々が様々な問題点を指摘してきた中でも、最も深刻とされていたのが開催期間中の東京の予想気温だった。
コンクリートで埋め尽くされた首都・東京の気温は年々上昇傾向にあり、真夏の東京には連日「不要な外出を控え」「冷房の効いた室内で過ごす」ことを強く推奨する警告が出されているほどその状況は深刻になっている。
特に高齢者を中心に、毎夏、健康被害が出ており、熱中症による死者も少なくない。

普通に活動しているだけでも健康への悪影響が懸念される状況下で、世界のトップアスリートが激しい競技を炎天下の東京で繰り広げることになる…医療関係者の間では半ば真剣に、死者が続出するのでは、なんてほとんど悪夢としか言いようのない最悪のシナリオを懸念する声も聞かれていた。
そもそもアスリートは普段から鍛えているとはいっても、運動能力と気温に対する耐性は別物で、鍛えてるから大丈夫、根性で乗り切れるはず、などという無責任かつ非科学的な精神論は通用しない、という声もあったし、仮にアスリートは大丈夫だったとしても、周辺のボランティアやメディア関係者など、そもそも日頃から鍛えてもいない文字通り一般人がオリンピックには多数アスリートと同じ環境下にさらされる事になる。
メディア関係者は仕事だから労災があるかもしれない(から大丈夫、という問題じゃない)けど、ボランティアはまさに自己責任。万が一の場合どうするのか、という疑問の声に対して、JOCは明確な答えを出していないまま、決して大げさじゃなく「玉砕覚悟」のとんでもない状況が進行している。

「正気の沙汰じゃない」東京五輪が一年を切り、いよいよその懸念が深刻に懸念される中で、最も過酷な環境になるであろうマラソンと競歩が、ついに東京から離れることになった。
先日、小池都知事がIOCの案を(しぶしぶ)容認したことで、札幌開催の最大の障害がなくなり、恐らく札幌開催は決まった、という事で札幌開催に向けて様々なことが動き出している。
ただ、この問題、そんなに単純なハナシじゃないのよね、残念ながら。

札幌は東京より涼しい、はホントか?

そもそも真夏の東京でオリンピックなんて正気の沙汰じゃない、といった批判は五輪誘致の段階から言われていたけど、じゃあ札幌なら大丈夫なのか、というと、どうもそうではないらしい。
最近は真夏だと札幌でも十分暑いというハナシはよく聞くし、東京と比べて広大な札幌には直射日光を遮るような建築物も少なく、当日の天候によっては東京以上に過酷な環境になる可能性すらあるようだ。
様々な情報を総合すると「日本国内どこでやるにせよ、7~8月にオリンピックなんかやるべきじゃない」という結論しか出てこない。

そう、全てをぶち壊すことになってしまうけど、マラソンと競歩だけが危険なのではなく、真夏の東京の炎天下で競技をするという点では、屋外で行う他の多くの競技が実は大きなリスクを抱えている。
ほぼナイ!」の中で指摘したように、当時の東京(日本)はあり得ない前提で誘致に成功して「しまって」いる。
今もJOCの公式サイト上に堂々と公開されている、招致活動当時に作られた『立候補ファイル [日本語版]』(PDF)の「02 大会の全体コンセプト」には

この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である。

という、日本に住む者からすると、俄かに受け入れがたい、とゆーか、早いハナシが、「そんなワケねーだろ!」とツッコミどころ満載の記述に溢れている。
少なくともボクの知る限り、外出を控えるように警告が出されるような環境を、「温暖」とか「理想的な気候」とは表現しない。一般的にはこーゆーのを、ウソ、とかサギ的表現、と言う。

ついでに言うと、このファイルには記載がないけど、招致の段階で安倍総理がIOC総会でのスピーチの中で、福島原発の被害状況について “the situation is under control!” と自信満々に宣言し、一部で批判を浴びたけど、これももちろんウソだ、という事が明らかになっている。
確かに総理の言う “control” の対象が、未だに増え続けて遂に現在の貯蔵タンクがほぼ満杯になった汚染水の処理に困って、浄化して海に流すというハナシが出た際、漁業関係者が猛反発するという福島原発事故後の現状を指しているのなら、言うまでもなくウソなのだけど、そうではなくて、関係省庁やメディアが現状を見て見ぬふりで、表面上は小康を保っていてパニックにもなっていない、という意味では役人とメディアは実に見事に統制が取れている、つまり “control” されているというのは非常に正確な表現だともいえる。
因みに、メディアの統制とは、先日ニュースになったこの汚染水の海洋放出は、今更騒ぐ話ではなく、既に過去に行われていて、それがなんで今になって騒ぎになっているかというと、過去の海洋放出について日本のMSMMainstream Media大手メディア)では、当時ほとんど取り上げられていなかったから。
以上、もちろん全部、イヤミです。そして残念ながら、全てなんの誇張もない、ホントのハナシ。

もはや「東京五輪」ではなく…

それにしても、いくら千葉にあるのに「東京ディズニーランド」というくらいだから、札幌でやっても「東京五輪」と言って問題ない、と言っても、距離的にも文化的にも無理があり過ぎる、という素朴なギモンはガマンするとしても、こんな状況で東京(日本)で真夏にオリンピックなんかやる意味があるのか、といった懐疑論をMSMで目にすることも、さすがにないではない。
ただ、その論調の主なものとしては、巨額の放映権料を払うアメリカのTV局の事情を考慮して、アメリカのスポーツイベントが比較的少ない7~8月に開催時期を設定している、という批判がある。
この指摘は確かに正しいけど、それを言っても有効な批判にはならない。なぜならこの時期にオリンピックをやる、というのは招致の段階で決まっていたことで、そんなことを百も承知で立候補したのが東京(日本)なのだから。「温暖」で「理想的な気候」と大ボラを吹きまくって。
それを今更、IOCが商業主義に走っている、と言ったところで何の意味もない。
非があるのは、勝手に無茶な立候補をした東京(日本)の方で、問題にすべきはこんなメチャクチャな招致をした責任について、だ。

特に近年のオリンピックはメディアにとっても一大イベントで、放映権など巨額のカネが動くほか、これほど注目度の高いイベントが自国開催となれば、必死で盛り上げようとするのも無理からぬハナシではある。
そして、幸か不幸か東京の誘致活動が実り、2020年の五輪開催が決定した。

こうなるとMSM各社、そして実は国内の大型(スポーツ)イベントを取り仕切る規模とノウハウを持ち合わせる唯一の存在、「電通」が一気に盛り上がる。
まぁ実際には誘致の段階から「電通」が動いていたワケだけど、誘致決定となるとその規模や盛り上がりは格段に違う。
そして他国では決してあり得ないことに、MSM(しかも全社)が五輪のスポンサーになるという、ジャーナリズムのタブーを堂々と侵している。
この点は、以前のレビューブログで取り上げているので、詳しくはそちらを。

花形のマラソンは札幌に行き、その他の競技も例えばゴルフは、東京より更に暑い埼玉と、不透明な決定が続出し、まさに「迷走」東京五輪、と言ったところけど、こんな状況も、見事に大口スポンサーという形で当事者に入り込み、あっさりと批判する資格を失ったMSMに、まっとうな五輪報道は今後も期待できそうにない。
もはや「東京五輪」とは呼べないじゃないか、って状況だけど、実は誘致段階から全くブレていない点がある。
それは今回の五輪を裏で取り仕切っているのはメディア界のドン、「電通」であって、この点についてはいよいよMSMは切り込むことなどできない。

ということで2020年に開催される予定になっているのは、実は「東京五輪」ではなく「電通五輪」です。

イサ&バイリン出版 解説兼論説委員 合田治夫

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