ー ほぼナイ! HEAD LINE ー
<米中対立は「茶番」の疑いも出ています>
Trump大統領

トランプ大統領(写真:Wikipedia)

国内メディアが連日「米中貿易戦争」を報じる一方、欧州などの第三国メディアは冷静な分析を続けています。

日米の大手メディアは連日「米中貿易戦争」を大々的に報じる一方、それ以外の国のメディアは報道の頻度もそれほど高くない上に、報道の量もそれほど多くないようです。
更に、そのアメリカのメディアでさえ、実際は「米中貿易戦争」を「New Cold War新冷戦」などと報じながらも、冷めた論調で報じており、実際はこの米中対立を「茶番」と捉えていることが伺えます。
世界の報道の中で真面目に「米中貿易戦争」を報じているのは、日本の報道以外にはほぼないと言ってよい状況です。

(以上 HEADLINE 2018.11.28)

< ほぼナイ! レビュー動画(Vol.40):【 見逃し配信を視聴 (YouTube)】>

『ココがヘン!ニッポンのニュース:米中貿易戦争という「茶番」:”I love China.” なトランプ

<参考:“Bloomberg” YouTubeチャンネルDonald Trump: ‘I Like China’

「米中貿易戦争」が「茶番」なワケ

日本の報道だけを見ていると、まるで明日にも「米中貿易戦争」が深刻化し、昔の米ソ冷戦時代のような両大国の(軍事を含む)にらみ合いが復活するんじゃないか、と思ってしまいそうになる。
けど、幸いなことにそんな「バカな」ことをマジで報じてるのは、世界広しと言えども日本くらいのものだ。
ほぼナイ!」で紹介したように、ヨーロッパなど、日米以外のメディアはこの米中両国の対立について報じていることはほとんどなく、同じアメリカのニュースでも注目しているのは別のニュースだというのがよくわかる。そもそも報道量が全然違う。

報道量自体は日本並みに多いアメリカのメディアも、その報じ方を見ると、とても真剣に「米中貿易戦争」とか「新冷戦」だなんて思ってるとは思えない。
例えばペンス米副大統領の演説を報じた10月5日付の New York Times 紙では、

Pence’s China Speech Seen as Portent of ‘New Cold War’

ペンス副大統領の中国に関する演説は「新冷戦」の前兆

と見出しを打ちつつ、記事では

Mr. Pence’s speech was clearly directed at a domestic audience.

ペンス副大統領の演説は露骨にアメリカ国内向けのものだった。

演説中のペンス副大統領

演説中のペンス副大統領(写真:AFP/アフロ)

と断言しつつ、更にペンス副大統領の演説は中国時間で夜の11時に行われたと続け、日本では中国強硬派として語られているペンス副大統領が、思いっきり中国を「忖度(そんたく)」していると報じている。
そもそも、現在のアメリカのメディアは一部の例外を除き、ほとんどがアンチ・トランプなので、トランプにネガティブなネタをドンドン取り上げているし、社説などもトランプ批判一色になっている。
なので、(トランプにネガティブな印象を与えようとして)トランプは好戦的で米中関係をドンドン悪化させている、という文脈で「米中貿易戦争」をさも深刻に扱っている「フリ」をしつつ、実際はそれが「茶番」であることも指摘している。
このNYT (New York Times) の記事にしてもそう。大体、見出しからして「新冷戦」とカッコつきにして、全然シリアスに扱ってるワケじゃなく、単にトランプ政権をバカにしていることが透けて見える。

じゃあ、なんでアメリカを含む(日本以外の)世界のメディアが米中の対立をマジで報じていないかというと、実は「ロシア疑惑」のロシア以上に、トランプは大統領になる前から中国とベッタリ、とゆーか「ズブズブ」の関係だと知っているから。
いかにトランプが中国と「ズブズブ」なのかがわかる証拠がコレ。
参考記事でも紹介しているトランプの大統領選挙中の演説動画だ。場所は有名なニューヨークのトランプ・タワー。
因みにこの動画はフェイクニュースでもなんでもなく、アメリカの経済専門メディア「ブルームバーグ」がYouTubeにトランプの演説をそのままアップしているもの。
一部を文字に起こしておく。

I love China.
The biggest bank in the world is from China.
You know where their United States headquarters is located?
In this building, in Trump Tower.
I love China.

私は中国を愛している。世界最大の銀行は中国の銀行だ。その銀行のアメリカ本部はどこにあると思う?このビルだ。トランプ・タワーだ。私は中国を愛している。

トランプが「世界最大の銀行」と言ってるのが『中国工商銀行』。トランプの言うとおり、この『中国工商銀行』は総資産・営業利益共に文字通り世界ナンバーワン。
その『中国工商銀行』の本店はもちろん北京にあるけど、アメリカ本店と言うべきNew York支店は、あのトランプ・タワーの1Fにある。
この『中国工商銀行New York支店』はトランプ・タワーで最大のテナント。つまり、トランプの上得意先中の上得意先。
それにしても、だからオレは中国を愛してる、と選挙戦の最中に堂々と言ってのけるトランプは、ある意味凄い。
中国との癒着があとで問題化する、痛くもない腹を探られる、とか考えなかったのか、と勝手に心配してしまいそうになるけど、考えなかったんでしょうね。それがトランプという男。

ということで、ここまで言っても、あなたはまだ「米中貿易戦争」「米中新冷戦」ってホンキで信じますか?
誰がどう見ても、こんなの「茶番」以外のなんでもない。まさにフェイク。

日本のメディアは本気で信じてる?

じゃあ、「米中貿易戦争」「米中新冷戦」が「茶番」だとして、なんでそんなコトをわざわざトランプ政権はやるのか。
それは、トランプの最優先事項が「次の大統領選で再選すること」だから。
コレはさすがに日本のメディアも、海外メディア同様、正しく伝えている。

再選を狙うトランプが欲しいのは、もちろん票。つまり、トランプに対するアメリカ国民の支持。
ただ、共和党のトランプに対して民主党支持者は絶対にトランプは支持しない。彼を米国史上最低の大統領と信じて疑わない。
あの大統領選でトランプの勝利が決まった瞬間、マジで泣き叫んでいた人たちだ。
トランプはそんなこと百も承知なので、こうしたアンチ・トランプ層はハナから相手にしてない。
どんなにアンチが増えようと、熱狂的な支持者を一定数押さえておけば、大統領選に勝てる、とトランプは考えている。
これまでの米大統領選の候補者は、ここまで露骨な戦略は取らなかったけど、トランプはそれを、やった。
そして、絶対に勝てないと言われた大統領選で、見事に勝ってしまった。

ということで、「米中貿易戦争」「米中新冷戦」は中国嫌いのトランプ支持者である保守層に対するアピール以外のなにものでもない。
最近ではアメリカの世界一位の経済大国の地位を脅かし、アメリカの雇用を奪おうとしている(と思っている)と逆ギレしつつ、そもそも中国は社会主義で共産党の一党支配でアメリカの価値観とそもそもかけ離れている、とマジで中国を嫌っている層が、トランプ(共和党)を支持する保守層と結構カブっていたりする。
こういった層に対して、トランプは中国との対決姿勢を「ポーズとして」見せておく必要がある、と思い出したようだ。

けどホントのところ、トランプは「中国を愛して」いる。とゆーか「中国マネーを愛して」いる。
そんなこと、アメリカを含む世界のメディアがわかっている。
「米中貿易戦争」「米中新冷戦」なんて、マジでそんなことになったら、一番損するアメリカ人は、誰が何と言おうとトランプ大統領、その人だ。
そしてどんな時にも、自分の損得に最も忠実に動く、それがドナルド・トランプという男。

一方、世界で唯一、連日マジに「米中貿易戦争」「米中新冷戦」と騒ぐメディア。それが日本の記者クラブメディア
実態をわかっててワザと騒いでるのか、それともマジでわかってないのか。
ボクは当事者じゃないのでわかる筈もないし、わかりたくもない。
だってコワいもの。
わかっててやってるならタチが悪いし、わかってないとしたら。一体何を普段取材してるんだ、ってハナシだし。
いずれにせよ全社横並び、しかも思いっきり明後日の方向に走ってる、という記者クラブメディアの悪いところがモロに出てしまっている。

イサ&バイリン出版 解説兼論説委員 合田治夫