各界著名人呼びかけの辺野古埋め立て反対署名が20万筆超す:注目は「誰がやったか」だけ(2019.1.30配信分レビュー:その2)

ー ほぼナイ! HEAD LINE ー
<20万筆を突破しました>
辺野古埋め立て反対派のカヌーを阻止する海上保安官

辺野古埋め立て反対派のカヌーを阻止する海上保安官(写真:福井新聞)

米ホワイトハウスの開設するネット署名サイト『WE the PEOPLE』に、辺野古埋め立て中止を求める請願に対し、各界著名人が署名を呼びかけ、署名数は20万筆を突破しました。

難航する米軍海兵隊の沖縄県普天間基地の移転問題は、同じく沖縄の辺野古沖を埋め立て、新たに基地を建設する案が日本政府の主導で進められていますが、海を大規模に埋め立てる計画については、環境破壊の懸念が指摘されています。
また、在日米軍施設が過度に沖縄県に集中している現状から、普天間基地は沖縄県外に移転すべきという声は、沖縄県内などに根強くあり、国と沖縄県の対立が続いています。
こうした中、辺野古移設を反対する市民グループなどから、移設問題について直接県民の声を聞くべきとして県民投票の実施を求める声が上がり、県民投票は2月24日の実施が決まりました。
こうした動きに合わせ、既に埋め立て工事に着手した日本政府の動きを止めようと、米政府に直接働きかける案が浮上、署名が10万筆を超えると米政府が何らかの反応を示すことになっている「WE the PEOPLE」で、”Stop the landfill of Henoko / Oura Bay until a referendum can be held in Okinawa”(
県民投票の結果が出るまで辺野古沖の埋め立て作業は一時中止せよ)という要求に対する署名が集められていました。

(以上 HEADLINE 2019.1.30)

< ほぼナイ! レビュー動画(Vol.42):【 見逃し配信を視聴 (YouTube)】>

『ココがヘン!ニッポンのニュース:各界著名人呼びかけの辺野古埋め立て反対署名が20万筆超す:注目は「誰がやったか」だけ

<参考:ライブドアニュース企業側から見たローラの辺野古発言「スポンサーからしたら大迷惑」

「普天間移設が必要」は本当か

沖縄の基地問題については、以前の「ほぼナイ!」でも『沖縄県知事選は玉城デニー氏が史上最多得票で当選:「ナイチャー」の知らない「65カイリ」の真実(2018.10.31配信分レビュー:その1)』で取り上げたけど、その時に問題にした「65カイリ」は、実は基地問題のほんの一部でしかない。

普天間基地移設にしても、メディアで広く報じられてるハナシと実際のハナシには相当ギャップがある。
なぜ普天間基地を移設するか、というと、「普天間は世界一危険な基地」だから、ということになっているけど、そもそもコレが実は違う。
過去の事故発生数などを冷静に分析すれば、世界一危険な基地は、普天間の米軍海兵隊基地ではなく、同じく沖縄にある嘉手納の米軍空軍基地だ、とならないとおかしい。
けど、不思議なことに日本政府はもちろん、野党を含む普天間の基地移設に反対する勢力で、「普天間の前に嘉手納を何とかするのが先だ」という声は、ボクの知る限り全く聞こえてこない。
更に言うと「普天間は世界一危険な基地」の根拠とされているラムズフェルド元米国国防長官の発言も、いくら米海軍出身者とはいえ、彼が日本の基地事情に精通していたとは到底言えないし、彼の発言が嘉手納と普天間を比較した上で出されたものでもないし、それ以上に本当に彼が「普天間は世界一危険」と言ったか、客観的な証拠を日本のメディアは検証もしていない。
だからと言って、もちろん普天間を放置していいことにはならないけど、それ以上に嘉手納を放置している理由を、普天間移転推進派はちゃんと示す必要がある。

また、日本に米軍の海兵隊が必要な理由も、日本のメディアでほとんど語られることはない。
鳩山政権が「最低でも県外」を主張していた時に「日本の防衛の事を考えていない」と批判する声がたくさん聞かれたけど、そもそも日本の防衛と米軍の海兵隊に何の関係があるのかボクにはさっぱりわからない。
海兵隊は海軍と同じ「海」という字があるので、同類と勘違いされがちだけど、実は全く違う。
英語にすると分かりやすいかもしれない。
海兵隊は Marine Corps で、海軍Navy なので、コトバからして全く違う。そして当然のように、役割も全然違う。
海軍Navy の役割を持つ日本の組織はもちろん海上自衛隊だけど、じゃあ 海兵隊:Marine Corps の役割を担う日本の組織はというと、「水陸機動団」というのがあるそうだ。
ね、「海」なんて一文字も入ってない。
因みに米軍以外の海外の軍隊で、海兵隊の機能を持たない軍隊はあるのかというと、実は結構ある。
海兵隊というのは、いざ戦争だとなった時に、まず真っ先に戦地に赴く先兵隊。
なので、専守防衛、国防に専念することになってる自衛隊に、そんなものが要るのか、というと議論が分かれることになるかも。
少なくとも、海軍と違ってどこかの戦地に行くことが前提になっている組織が、日本の最南端の沖縄にいないとダメだ、という理由はどこにもない。
更に余談だけど、世界最強の海兵隊と言われる米軍海兵隊、実は米軍の中でその地位は高くないらしい。
陸・海・空の三軍と比べると、決して公に語られることはないけど、平たく言えば軍隊の中ではその役割からして「鉄砲玉」みたいに見られてるのではないかと、素人の浅はかな想像を膨らませてしまう。
大物は後から、というのはどこの世界にも共通するようで。

そんなワケで、やっぱり日本に米軍の海兵隊は要らないんじゃないか、という声は結構あって、おまけに米軍の都合で、普天間の海兵隊はグアムに移転することが決まっていた。
これはオバマ前大統領が安倍総理の前で「沖縄からグアム」としっかり明言している。
もっとも、日本のメディアは「なぜか」全社揃って「普天間から辺野古」という日本政府案に合わせるように誤訳したけど。

「ローラはダメで外タレはOK」の不思議

日本人は「外タレ」に弱い。とゆーか欧米人に弱い、らしい。
まず、今回の辺野古沖への移設に反対する勢力が繰り出した切り札が『WE the PEOPLE』での署名集めだった。
日本政府に行っても「らちが明かない」ということだろう。実際この問題はずーっとモメ続けてるし、明確な進捗もない。
それにしても、腐ってもアメリカ、自由と民主主義の国、こんな立派なものを政府が堂々と開設している。凄い。
そして、署名集め開始から30日以内に10万筆を超える署名を集めた 請願Petition には、60日以内にホワイトハウスが何らかの対応をするってことになっている。
その 署名が結局、倍の20万筆を超えました、というのが今回のニュース。

モデルのローラ

モデルのローラ(写真:モデルプレス)

この20万筆を超えた 請願Petition 、署名集めの過程でモデルのローラが自らのInstagramでこの 請願Petition への署名を呼びかけ、話題になった。つーか、バッシングが始まった。
大体、今回みたいに賛否両論が割れる場合、バッシングの方が圧倒的に目立つ。
他にも、署名を呼び掛けた有名人はいたけど、知名度に加え(これまで政治問題に対する発言がなかった)意外性も手伝ってか、彼女のアクションは注目度がダントツに高かった。
この話題とは別に、海外の有名人の中にも署名を呼びかけるヒトが現れた。
ほぼナイ!」で取り上げたのが、『ボヘミアン・ラプソディ』で話題の Brian May のツイート と ボクの敬愛する Van Dyke Parks のツイート
特に『ボヘミアン・ラプソディ』効果か、Brian のツイートは特に話題になったように思う。
Van Dyke は多分日本で知ってる人は一部の音楽好きに限定されてる気がするので、そんなに話題にならなかったかも。
一応沖縄のメディアは取り上げたんだけど。

いずれにしても、日本人扱いのローラは結構叩かれ、一方の「外タレ」勢は感謝や称賛の声が圧倒的だった。
訴えたことは全く同じであるにもかかわらず。
モデルかミュージシャンかの違いで、この違いが生まれたわけじゃ、もちろんない。
日本のミュージシャンがローラのようなことをしても叩かれただろうし、アメリカのスーパーモデルが Brian や Van Dyke のようなことをしたら、まず間違いなく日本人からのバッシングは皆無だったろう。
あくまで日本人か欧米人か、の違い。

外タレ2人は純粋に、思ったことを発言したに過ぎないだろう。
特に Van Dyke は日本との関わりも結構あり、彼の Twitter には音楽の話題に限らず、結構な頻度で社会問題が出てくる。
こうした社会問題への積極的なコミットも、(今回のKey Wordである)ひとつの “Noblesse Oblige” だ。
(社会的地位が)上にいる人は、社会に対して何らかの責任を負」っている、ワケだ。
今の世の中では、有名人はある種の Noblesse と考えるべきだ。

ホントは、ローラのインスタのリンクも載せようと思ったけど、話題のポストは見つけられなかった。
多分、周りの「オトナたち」に削除させられたのだろう。
或いは、バッシングの多さにヒイて、自分で削除したのかもしれない。
どっちにしても、相変わらず不健康なハナシだ。

可哀そうな「傷だらけのローラ」って、やめようかと思ったけど、ネットであふれ返ってるこのフレーズ、やっぱりパクりたい衝動を抑えられなかった。

イサ&バイリン出版 解説兼論説委員 合田治夫

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