2017.06.28配信 ほぼナイ!HEADLINE その3 レビュー
<爆弾発言に批判が集中しています>
アイドルの須藤(すとう)凜々花さんが、6月17日のAKB選抜総選挙で自身の結婚を表明したことに、ネット上などで驚きの声や批判が巻き起こっています。
本来AKBグループのメンバーは結婚はもとより、恋愛自体も禁止されており、このルールを破っていたことになる須藤さんの結婚表明については、ファンやメディア、同グループのメンバーの中からも批判する声が出ており、今後の須藤さんの動向に注目が集まっています。
(以上 HEADLINE 2017.06.28)
『ココがヘン!ニッポンのニュース:そもそもオカシなルールこそが問題では』
<参考:ハフポスト> 須藤凜々花、涙の謝罪 ⇒ 木下百花「君の謝罪は聞き飽きたんだよ」【NMB48】
「ほぼナイ!」では、大して詳しくもないクセに、ときどきこういう「芸能ネタ」もはさんでみたりする。
それはこうした「芸能ネタ」にも、メディアが抱える問題点が如実に表れていたりするからだ。
因みに、以前にはSMAP解散報道を2回も取り上げたが、それはかつてボクが森クンに似ていると言われまくった、からだけではない。多分。
かくいうボクはいまだにAKB48とNMB48の違いも分かってないし、この須藤さんはNMBのメンバーらしいのだが、じゃあなんでAKBの総選挙に出てるのかも実はわかってない。
という程度の知識しかないので、詳しく知りたい人は勝手に調べて下さい。
今回ボクが「ほぼナイ!」で問題にしたのは、AKBだろうがNMBだろうが、それから現存するいわゆるアイドルグループの多くは、恋愛が禁止されている、という事実であり、さらにそれを踏まえた上で報道するメディアの姿勢である。
以前、「ほぼナイ!」では電通の過労死自殺問題も取り上げた。
この問題もいろんな要素があるのだが、「ほぼナイ!」でボクが強調したことの一つが、「違法な契約は無効」という点だ。これは法律の中で、キホンのキ、なのだが、意外に知ってる人は少ない。
自殺に追い込まれた高橋まつりさんに課せられていた業務は、明らかに過酷であり、労働基準法に違反する。
彼女が電通とどんな契約をしていたとしても、その契約は一切無効であり、仮に彼女がツラくて仕事を放棄したとしても、責められる点は一切ない。
責められるべきは、そんな違法な労働環境を彼女に与えた、電通だ。
あと、「ほぼナイ!」では、AVの出演強制問題も取り上げた。これは、違法な契約書にサインしてしまった女性たちが、自分の意思に反してAVに出ざるを得なくなっている、というハナシだ。
これも、本人の意思に反するAV出演自体やそれを強制する行為はもちろん違法なので、いくら契約書にサインしてようが、そんなものは無効である。違約金なんてものも、もちろん一円も払う必要はない。
こんなに単純で、しかも大事なことを、特にTVではあまり強調しない。多分、TV業界なんて、思いっきり違法な労働環境で成り立っているからではないか、と勘繰ってしまう。
さて、須藤さん問題。
ボクが「ほぼナイ!」で強調したのは、「そもそも20歳にもなる立派な成人女性に恋愛禁止を強いるような契約自体が違法=無効なので、彼女が結婚宣言=禁止事項の恋愛してた事に何の問題もない」という点だった。
ネットなどでは、恋愛云々が問題なのではなく、(ファンを裏切って)ルールを破った事が問題、などという批判も多いみたいだけど、くどいようだが違法なルールを守る必要はない。もちろん彼女のファンや所属事務所が彼女を束縛する権利はない。
むしろ問題があるとすれば、こんな違法なルールをタテにアイドル達に周囲への「サービス」を強いるビジネスモデルを構築している、多くの芸能事務所やメディアといったオトナたちこそ責められるべきだろう。そう考えると、こうしたビジネスモデルに巻き込まれる若いファンの方も被害者と言える。
この話は以前に、これも「ほぼナイ!」で取り上げた、女優の清水富美加さんが幸福の科学に出家し、所属事務所を辞める、と突如表明して騒動になった件に似ている。この件も、事務所やメディアに迷惑がかかるといった点が批判の的となっていたが、清水さんの意に反した仕事が強要されていた可能性がある点はほとんど問題にされていなかった。仮に清水さんの主張が正しければ、彼女と事務所間の契約は違法だったことになり、彼女に契約遵守の義務はない。
例えばアメリカの芸能人は恋愛禁止や意に沿わない仕事の強要といった違法な労働環境に置かれることはまずないし、仮にそんなことがあれば直ぐに問題になるだろう。
AV出演強要といい、明らかに力が上である芸能事務所やメディア側が、被害者が声を上げないことをいいことに、自分たちの「常識」を振りかざすイジメの構図は、あまりに不健全だし放置すべきではない。
もちろんこうした不健全な労使関係や労働環境は、芸能界という特殊な世界に限った話ではない。
特に最近、労働組合:Labor Union は力を失っており、雇用側に声を上げることも少なくなった。
ストライキ:Strike のニュースはいつの間にかほとんど耳にしなくなったし。
意外なことに、あのハリウッドの世界(役者やスタッフ)でも、労働組合:Labor Union があって活発に活動しているようだ。
日本人の国民性、と片付けるのは簡単だが、こうした労働環境の不健全さが、職場の活力を失わせ、日本の経済力を削いでいる可能性に、経営者側はそろそろ気付くべきだ。
イサ&バイリン出版解説兼論説委員 合田治夫