ハリウッドのセクハラ:不倫はNG、セクハラは容認、レイプは黙殺の異常(2017.10.25配信分レビュー:その2)

<スターの衝撃告発が止まりません>
ハーヴェイ・ワインスタイン

Harvey Weinstein氏

ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインHarvey Weinstein 氏に対するセクハラ被害の告発が女優やモデルから続出、約50人が声を上げています。

リベラル色が強い、と言われるハリウッドも実は男社会。
都市伝説のように言われ続けてきた「枕営業」などのセクハラが、ハリウッドにも現存していた、というこの衝撃的なニュースは現地アメリカだけでなく、文字通り世界を駆け巡りました。
ワインスタイン氏はイギリスなどの海外からも追放が決定しており、逮捕も間近ではないかとみられており、オスカー候補作を連発する大物プロデューサーの命運は、もはや尽きたようです。

(以上 HEADLINE 2017.10.25)

< ほぼナイ! レビュー動画(Vol.28)【 見逃し配信を視聴 (YouTube)】>


『ココがヘン!ニッポンのニュース:不倫はNG、セクハラは容認、レイプは黙殺の異常

<参考:エル・オンラインセクハラで告発されたハーヴェイ・ワインスタイン、アカデミーから追放される

「砂上の楼閣」ハリウッド

「自由の国」「アメリカン・ドリーム」と言った数々の形容詞の象徴とも言えるアメリカの都市、それがロサンゼルスのハリウッド。
言うまでもなく世界最大の映画の街であり、きらびやかな成功者の街というイメージがつきまとう。
と同時に、ニューヨークと並んで文化の最先端を行き、そのような都市のお決まりと言える、リベラルな思想の持ち主が住む自由の街…
これが多くの人が持つハリウッドに対するイメージだろう。

しかし、アメリカ、いや世界の映画ビジネスの利権が集まるハリウッドは、決して理想郷じゃない。
悲しいかな、利権、つまりカネは主に男社会に集まるものであり、それはハリウッドも例外じゃない。
ハリウッドは、実は陰ではいろんな噂もあったけど、やっぱり典型的な男社会で、チョー保守的、な側面が強い。
確かに一部のスターとか、リベラルな言動(人権・環境問題など)で知られるヒトも多いけど、そうじゃないヒトも多い。
それがモロに噴き出したのが、今回の「ワインスタイン事件」だ。

「たかがハリウッド、されどハリウッド」

男のボクが言っても説得力がないかもしれないけど、セクハラは結局パワハラだ。
パワー、権力を持つ上の立場の者が、その逆らえない状況下で(理不尽に)威圧する。
これがパワハラだし、そこに要求されるものが性的なものだとセクハラになる。
だから、女性から男性に対するパワハラも当然存在する。
あまりそう見えないかもしれないけど、それは単に男社会では立場が上にいるの者が、「たまたま」男であるケースが圧倒的に多いだけに過ぎない。

今回は「たまたま」男→女のパワハラの実態がバンバン露呈したのに過ぎないのであって、女性によるパワハラ、セクハラだって、ハリウッドにも多分ある筈だ。
そして、何より困ったことに、大なり小なり人間には、他人を見下し自分の優位を確認せずにはいられない、そんな「弱く卑怯な」心理がある。
残念だけど、それが現実。自戒を込めて。
映画(栄華)の街ハリウッドも、そんな弱い人間たちの集まりだった。それだけのこと。たかがハリウッド。
因みにワインスタイン氏の事件は、様々な告発を招き、当初は兄を批判するコメントをしていた同じくプロデューサーの弟にもセクハラ問題が発覚した。
その他のワインスタイン兄弟以外のセクハラ案件も大物女優などから続々告発・証言されてて、何のことはない、一人じゃなかったのね、というハナシ。

しかし。ここからが、されどハリウッド。
まず、これほど立て続けに、勇気ある告発や証言が出てくるのが凄い。
それどころか彼女たちからは、これまで沈黙を続けてきたことに対する、反省や後悔のコメントも相次いでいる。
欧米にも、セクハラや性犯罪はあるけど、それを許さない風潮が確実にある。
今回、その風潮が垣間見えたのが、ほぼナイ!」で取り上げた、SNSでの「#MeToo」と「#HowIWillChange」だ。
詳しくは、ハフポスの記事を参考にしてほしい。
ついでに、ハリウッド、そしてホワイトハウスの本気が見える動画が載った”アクトゼロ”のページも紹介しておく。
この中にある動画”1 is 2 Many”は、ほぼナイ!」でも取り上げた。
アメリカ政府による「女性への性的暴力撲滅」を訴えるバイラル動画『1 is 2 Many』:アクトゼロ

悪いモノは、どんな大物だろうが何だろうが、悪い、というコトで、ハリウッドには自浄作用がある。
ワインスタイン氏には、もはや映画プロデューサーとして再起の目はない。
ハリウッドどころか、ヨーロッパの映画界でも出禁を喰らっている。ヨーロッパでもセクハラの告発があったようだ。
それどころか レイプRape されたという告発もあり、逮捕間近と言われている。
ま、犯罪ですからね、レイプは。当然と言えば当然なんだけど。
どこかの社会みたいに、大物(の身内)の悪事には目をつぶって、とか、犯罪もみ消し、とか、そんなことは一切ナシ。
腐ってもハリウッド、最後の良心は残っているようで。

騒ぐ基準が明らかにおかしい

一方、わが日本。
つい最近、似たような話を「ほぼナイ!」でも取り上げた。
そう、「詩織さん事件」だ。
こちらは大手テレビ局の現役社員(事件当時)で、続々と告発者が続くワインスタイン氏に比べると小者?感が漂う。
とはいえ、限りなくクロに近いグレーとはいえ、 準強姦Incapacitated Rape / Quasi Rape はれっきとした 刑事事件Criminal Case の案件。
実際、逮捕状まで出たのだし。

にもかかわらず、いまだに「詩織さん事件」は大手メディアでは一切扱われない。
ほとんど「もみ消し」案件である。
一方で、今年のメディアは不倫で大騒ぎ。芸能人に加え、与野党の政治家も不倫スキャンダル。
世の中のリアクションからすると、不倫は絶対にダメ、というのが大勢のようだが、事の善悪は別として、不倫は 犯罪Crime ではない、というコトだけはハッキリしている。
当事者間で解決すべき問題だ。
一方、セクハラの方がタチが悪い。程度モノだけど、場合によっては 犯罪Crime にもなりうるし、悪質な性犯罪にもつながる。
だが、メディアを含む日本社会には、セクハラは明らかに存在する。
筈なのだが、被害者が声を上げないことをいいことに、放置されているケースがほとんどだ。
それどころか、仮に被害者が勇気をもって声を上げたとしても、おまえにも責任がある、と言わんばかりの目が向けられたりする。
というコトで、多くのセクハラは半ば黙認され、スルーされているのが実態だ。
そもそも、肝心のメディアの中心にいるのが当事者バリバリのセクハラおやじ、だったりする。
そりゃ、スルーするのも当然か。ひょっとして、悪いとすら思ってなかったりして…

そして「詩織さん事件」だ。こっちに至ってはもっと深刻な問題なのに、取り上げようともしない、となれば、完全な「黙殺」だ。
以前のほぼナイ!でも取り上げた 縁故主義・依怙贔屓(えこひいき)Nepotism / Cronyism だが、今回はまさにこれだ。
「詩織さん事件」の山口氏は当時思いっきりメディアの中にいたワケだけど、もちろん血縁関係じゃないので典型的な 
Cronyism ということになる。
海外のメディアが
「詩織さん事件」を大々的に取り上げてるのとは、あまりに対照的だ。
Is Japan’s Top Politician Behind a Shameful Rape Cover-Up?:The Daily Beast

問題の深刻さ、重要さからすると、その度合が高い順でいくと、どう考えても レイプ > セクハラ > 不倫 となる筈だ。
改めて言うまでもなく、メディアの「騒ぐ」基準は明らかにおかしい。

イサ&バイリン出版解説兼論説委員 合田治夫

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