沖縄県知事選は玉城デニー氏が史上最多得票で当選:「ナイチャー」の知らない「65カイリ」の真実(2018.10.31配信分レビュー:その1)
ー ほぼナイ! HEAD LINE ー
<史上最多得票の当選でした>
9月30日に投開票が行われた沖縄県知事選挙は、辺野古移転反対を公約に掲げた野党系新人の玉城デニー氏が、沖縄県知事選史上最多の得票で当選しました。
翁長雄志前知事の在職中の急逝を受けての沖縄県知事選は、保革両派から幅広い支持を受けていた故翁長前知事の事実上の後継者として出馬した玉城氏が事前の予想を上回る史上最多得票で圧勝、沖縄県全体の基地建設反対の意志の強さを改めて証明しました。
選挙結果を受けて玉城氏は、産経新聞の取材の中で、辺野古移転反対の強い意志を改めて表明するとともに、「65カイリ」についても言及、現在の沖縄が置かれている困難な状況の改善を訴えています。
(以上 HEADLINE 2018.10.31)
< ほぼナイ! レビュー動画(Vol.39):【 見逃し配信を視聴 (YouTube)】>
『ココがヘン!ニッポンのニュース:沖縄県知事選は玉城デニー氏が史上最多得票で当選:「ナイチャー」の知らない「65カイリ」の真実』
<参考:琉球新報> 鳩山政権、県外断念の根拠 65カイリ基準存在せず
玉城新知事誕生の背景
9月30日に投開票が行われた沖縄県知事選挙は、病気療養中だった翁長前知事の死去を受けて行われた。
生前、翁長氏が後継指名をしたとされる玉城氏は、選挙戦序盤から有利との声が多かった。
そもそも、今回のように前任者が死去し、その後任を決めるという選挙は「弔い合戦」などと呼ばれ、前任者の後継候補(今回は玉城氏)に有利に働くことが多い。
そういったことに加え、前任の翁長知事が、元は自民党沖縄県連の幹事長という典型的な保守政治家でありながら、米軍基地建設反対の立場を主張し革新勢力の支持を受けて県知事選に出馬、結果的に保守層と革新勢力と両方の幅広い支持を受ける存在だったことで、玉城氏も翁長氏同様、政治勢力の違いを超えた支持を集めたことも、圧勝の要因となったようだ。
こうした政治勢力の垣根を超えた幅広い支持を集める、というケースは、地方選挙では「与野党相乗り」といった例もあるように、決して珍しいことじゃない。
ただ、今回は地方選挙で最も規模の大きい県知事選で、なおかつ選挙の大きな争点の一つが米軍基地の移転先の基地建設という、思いっきり国政の問題だ。
国政選挙に準ずる、ほぼほぼ沖縄のみで行われる国政選挙と言ってもいいんじゃないか。
しかも、元々沖縄県民の少なくとも過半数は新たな米軍基地建設、特に辺野古の基地建設には反対していると言われているし、辺野古移転をやりたがっている安倍政権を横目に、自民党の沖縄県連は辺野古移転に消極的、公明党沖縄県連に至っては明確に辺野古移転反対と、東京の与党本部の方針とは明らかに違っている。
という感じで、沖縄の政治状況は中央や他の都道府県の状況と明らかに違っている。
沖縄は他の都道府県と比べて決して広いとは言えない面積ながら、そこに日本にある米軍基地のほとんどが集中している。
戦闘機の出す騒音にはじまり、文化の違う基地駐留の米軍兵士が起こす犯罪、そして市街地に米軍のヘリが墜落するなど、数多くの基地が招いた問題に長らく沖縄は苦しめ続けられている。
こうした経緯を受けて、玉城氏は史上最多得票で圧勝、新知事に就任した。
「65カイリ」とは?
ということで、いよいよ「65カイリ」だ。
200カイリ、というのは昔社会科の授業で聞いたかな、という方も多いかもしれない。
カイリ(海里)、というとおり、海面の長さ、距離のコト。
では65、とは…わからなくて当然。
なぜなら「65カイリ」なんてものはこの世に存在しないから。
いや、正確に言うと、ある極秘文書の中にだけ存在する。
参考ページでとしてご紹介しているのは琉球新報という沖縄の地元紙の記事だけど、読んでもらえば大体わかると思う。
そしてページ右上に掲載されている画像は、鳩山元総理が保管している文書そのもの、だ。
要は、民主党政権時、鳩山元総理が沖縄の基地問題について主張していた「最低でも県外」の公約通り、普天間基地の徳之島(鹿児島)への移転計画を進めていたのを、何を血迷ったか当時の外務省官僚が鳩山総理(当時)に
「米軍には基地移転について65カイリ内の範囲という厳格なルールがある。現在の基地から遠く離れた場所に移転をする、ということは不可能だ。」
と、ご丁寧に鳩山総理にレク(つまり説明)し、強引に徳之島移転を断念させてしまった。
一方の鳩山総理も人がいいのかヌケているのか、当時普天間基地の県外移転断念を発表する際に、これまたご丁寧に「学べば学ぶほど…」と発言しつつ、この「65カイリ」については一言も触れず、その発言のあまりのド直球ぶりに国民から呆れられ、その後の民主党政権の凋落をある意味決定づけた、という救いようのないハナシが、当時の「最低でも県外」を巡る真相だ。
当時の鳩山総理の評価はさておき、問題はこの実際はありもしない「65カイリ」なんていう、実際には米軍に存在しない完全なウソ話を総理に吹き込み、更に自分たちの大ウソをホントっぽく見せるために、「極秘文書」なるものを偽造し総理に渡すという、通常なら国家犯罪級の暴挙だ。
当時の政権の公約実現を嘘八百を並べ立てて無理やり妨害し、政権の信頼を失墜させ、政権の転覆を謀った。
「ほぼナイ!」でも言ったけど、こういうのを日本以外の国でやるとまず間違いなく クーデター:Coup と言われる。
国が国なら首謀者の生首がホントに飛んじゃったりするハナシだ。
普通 クーデター:Coup は軍人とかがやるものだけど、なんと全く武装してない官僚がやってしまった。
しかも血が一滴も流れることなく。その点日本は平和国家だ。ある意味凄い。
因みにこの「65カイリ」、もちろん米軍は全く知らないハナシで、そんな基準は全くない。
そりゃそうだ、当時の外務省が勝手にでっち上げた全くの作り話、なんだから。
そもそも米軍に「65カイリ」なんて基準なんかない、というのは当の米軍が明言している。
大体、以前から普天間基地は「65カイリ」をはるかに超えるグアムへの移転が米軍の軍隊再編計画で決まってるし、オバマ大統領(当時)がそのことを安倍総理の前で明言している。
それをオバマが “From Okinawa To Guam” と言っているのをNHKが何を血迷ったか「普天間から辺野古へ」と世紀の誤訳を生放送で流し、ご丁寧にメディア各社がこの「誤訳」に追随する、というチョー荒業をやってのけた。
(※詳しくはレビューブログ「一部大手メディアがトランプ発言を誤訳→またもスルー:海外メディアにあって日本のメディアにないモノ」内<過去にもあった「誤訳のパクリ」>の部分を参照)
普天間の県外移転を全力で邪魔してるのは、実は外務省だ。
実は「ナイチャー」だけが知らされてない
ここでボクが書いてることや「ほぼナイ!」でしゃべったことは、別にボクの妄想でもなんでもない。
鳩山元総理がダマされた話は、本人が明らかにしていることだし、「65カイリ」極秘文書も鳩山氏が自ら保管しているものを公開している。
そしてこの一連の「65カイリ」ネタについても、参考ページの記事(この記事は2013年)をはじめ、再三沖縄の地元メディアで報道されているようだ。
なので、沖縄の中には、「最低でも県外」の公約を「結果的には」反故にした鳩山氏に対しては、もちろん未だに否定的な声もある一方、政界引退後も熱心に沖縄問題に向き合い続けている鳩山氏に対しては、意外にも好意的な声もあるようだ。
しかし、ボクを含む「ナイチャー(沖縄県外の日本人に対する沖縄での呼び方)」のほとんどは、沖縄の地元メディアに触れる機会も少なく、この「65カイリ」問題についてもほとんど知られていない。
ちなみにこの問題については、鳩山氏や当時の側近議員が細々の追及も続けているようだけど、当の外務省は「当時の担当者がいないのでわからない」などと逃げ回っているそうだ。
上司が一言ガツンと言えば一気に片付くハナシの筈だけど、まさか辺野古移転まっしぐらの安倍政権が当時の鳩山氏や民主党政権の名誉回復に手を貸す筈もない。
このハナシ、単に旧民主党の名誉回復云々というちゃちなハナシだけじゃなく、官僚の大変な不正を暴く、という意義もある。
これを放置しておくと、いずれは安倍政権がまた官僚からクーデターを喰らう可能性だって、ゼロじゃない筈なんだけど、まぁそんな想像力は持ち合わせていないらしい。
このように、行政も政治も動かない、というハナシは、世界各国、至る所にある。
こういう場合、国民の為に動くのは、メディアだ。まさにジャーナリズムの「腕の見せ所」である。
なんだけど、これまでさんざん言ってきた通り、日本の大手メディアは、官僚に渡された情報をそのまま流すという「記者クラブ制度」にがんじがらめになっているので、どこよりも早くこの「65カイリ」ネタをすっぱ抜き、大キャンペーンを展開…なんて骨のあるメディアは皆無だ。
未だに「65カイリ」に触れるメディアは、2016年の朝日新聞がさらっと報じたのを除き、一社も出てこない。
今後も多分出てこないだろう。なぜならこの問題を取り上げてしまえば、当時 Loopy:おバカ だなんだとさんざん鳩山氏をこき下ろし、その後も事あるごとに叩き続けていることが、実はかなりの部分間違っていたことも認めなきゃいけなくなる。
記者クラブメディアは絶対に自らの間違いを認めない。
真実よりも自分の面子を愛する。それが記者クラブメディア。
と、ここで終わろうと思ったけど、最後にちょっと明るい(?)話を。
玉城知事は当選直後に産経新聞の取材に応えている。
安倍政権の応援団と言われる産経が、なんと65カイリに言及する玉城知事のインタビューを掲載しているのだから、ちょっとビックリした。
ただ、どう好意的に見ても、産経が今後65カイリ問題を追及していくとは思えない。
情けない話だけど、産経の記者は65カイリの話が持つ意味どころか、65カイリのコト自体、全く知りもしなければ理解もできず、そのまま記事にしちゃったのかもしれない。
あぁ、多分そうだな、間違いないな…はぁ… 😥
もちろん玉城知事は沖縄の人だし、それ以上に鳩山政権当時、特に鳩山氏に近い衆議院議員の一人として知られていた。
65カイリのハナシもよく分かっているし、当時の背景も当然熟知している。
その知事が65カイリに言及したという事は、どういうことか。
今後の玉城県政に注目、というありきたりな表現でシメさせていただく。
イサ&バイリン出版 解説兼論説委員 合田治夫
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